介護中は身も心も洋服もボロボロで、自分のために費やす時間が皆無に等しかった。
介護を終えて鏡をのぞいたら、肌には艶がなく眉間に深いシワが出来て、口角は「へ」の字に下がっていた。試しに笑ってみたら、目は笑っているのに口角が下がったままで意地悪な人相になっている。私の介護も意地悪に満ちた介護だったのかしらと思い返す。
今まさにご両親を介護している友人に道でバッタリ会った。以前お会いした時にはイキイキとした笑顔とピチピチのお肌の持ち主でうらやましい限りだったのに、申し訳ないけれどもその面影は無い。
子どもの卒業式にコサージュどころかアクセサリもつけずに黒っぽい服を着て行って「まるでお葬式じゃないの」と笑いながら言われた。また謝恩会に行ったときには、私だけジーンズにセーターという姿で参加して、みじめでいてもたってもいられない気分になったことを思い出す。今の自分はみなと生活の次元が違うのだと実感した。そんなことを思い出しながら帰宅し鏡をのぞいたら、以前のような眉間のシワは薄くなり、口角も少しだけ上がった笑顔の自分に出会えた。
今その人に対して何かしてあげることは、その人の話を何でも共感して聴いてあげる機会を作ること。あとは時間が解決するしかないことなのかもしれないと思った。
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