なぜ こんなに腱鞘炎がひどくなるまで介護をしたのだろうかと ふと考えた。父が「家で過ごしたい」と言ったことが 一番。二つ目は頭がしっかりしていて とても敏感なであり記憶・思考がしっかりしちえる父を 施設に入れるのは忍びなかったこと。そんな父であったが 度々空白の時間があった。
横紋筋融解症で病院に入院しているときに『「お腹がイタイ、イタイ、イタイ・・・。娘を呼んでくれ~!」と叫んでいる』 と看護師さんから呼び出しがたびたびあった。そのたびに1時間ほどかけて病院に出向いていた。痛みが父を変える。腹痛とともに人格が変わる。病院に着く頃には痛みがおさまりけろっとしている。「イタイ」と言っていたその間の記憶は全くなくなるのか、痛かったことや大騒ぎして私を呼び出したことも覚えていない。
秋になると我が家はよく横浜の中華街に行く。その時も父に喜んでもらおうと思い 父の大好きな中華街の月餅を購入し 差し入れで持っていったことがある。しかしいつ持って行っても腹痛でそれどころではない状況。本当にがっかりした。今でも中華街の月餅を見ると 静まり返った病棟で「イタイ、イタイ、イタイ」と言っていた父を思い出す。
当時ヘルニアがあったのでそれが原因と病院では思われていた部分があったが それだけではなさそうだった。ヘルニアの手術をして帰宅してからも よく腹痛で悩まされていた。その時必ず「お父さん、ヘルニアの手術をして治っているのよ。」と言うと「ああ、そうか」と言って穏やかな顔に急変していた。
痛みの顕位のドクター自身が 悪性腫瘍になり激しい痛みを和らげるために行ったことは 故郷の川の流れのせせらぎを聴くことだったという。今まで色々な論文を書いてきたが あれは間違いだった。今まで自分がたくさんの患者さんに出していたどんな強い痛み止めの薬も痛みには効かない。自分の研究は間違いだったと言っていたそうである。痛みのメカニズムはとても複雑で難しいものなのだということだけはわかる。
※(聖路加の日野原先生が『医療者は「イタイ!」と言ってもあまり動いてくれないので「イタイ、イタイ、イタイ!」と3回言うと何か医療的なことをしようと医療者は動く』とおっしゃっているそうである。確かに、父はいつも「イタイ、イタイ、イタイ!」と言っては手を施してもらっていたので実証済み。何かの折に痛みを訴える時には3回言うことをおすすめしたい。)
ところで 先日そのようなことをその当時の主治医に会った時に話をしたらよく覚えていてくださり 「お父さんの痛がる症状を抑えることはできなかったし、坂道を転げ落ちていくあのスピードはただものではなかった。パーキンソンが引き金ではなく別の形で天寿を全うされると思っていたのですが、坂道を転げ落ちるようにそして最後はズドンと落ちていく症状だった。薬ではコントロールできずに難しかった。」と話された。臨床をたくさん診ておられる医師でさえ見たことのない症例だったという話をきき、どおりで介護が大変だったわけだと納得した。痛みはもちろんのこと 病気を良くするのも悪くするのもメンタル面が大きく影響しているということなのだろうか。病気に負けない強いこころを築き上げることが これからの人生のテーマなのかもしれない。
10月に入ると キンモクセイの香りともに腱鞘炎がやってくる。
休めない介護で すっかり悪化させてしまった。
一方 ロボットスーツが一般化する兆しが見えてきた。
本格的に生産をするようだ。
まずは介護施設で使われるようになるようだ。
何しろレンタル料が月に15万~20万前後と結構なお値段だ。
ロボットスーツを家庭で使えるようになるにはまだ時間がかかるかもしれない。
何しろ家事のような細かいことをするには着用したままでは生活しいくそうな構造だ。
今のところは介護施設等 介護を専門に行う人が着用することになるのだろう。
在宅介護をするには 家庭向けの簡単なロボットスーツが普及することが望まれる。
私の心配は それをつけた介護者の筋力が落ち リハビリが必要になることはないのかということ。
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